奈良電鉄デハボ1200/クハボ600(再) 工作
再作成 (2005/10/4)
デハボ1200/クハボ600は前回色々と不出来な点が多かったので、今回上回りだけを再作成することにしました。特に下地処理と塗料の色は改善したいところです。また、デハボ正面窓のHゴムは別張りにしましたが労力の割りに見栄えがしなかったので側面と同様の簡易方式にすることにしました。窓枠は紙の厚みを0.1mmとしてより実感的になるようにしました。
エポキシ樹脂コート (2005/10/4)
プリンタで罫書き後エポキシ樹脂コートによる下地処理を行ないました。エポキシ樹脂コートはポリプロピレンシートを使った方法で行なっていますので、この段階で艶のある平滑面になっています。但しくぼみがあちこちにできていますので再度コートするつもりです。この処理を行なうのは外張りだけです。
切り抜き (2005/12/20)
外張りの切り抜きはエポキシ樹脂コートをしたため面倒なものになりました。カッターナイフの刃は、30°のものでエポキシ樹脂コートした紙を切ると刃がしなるために切りにくく、45°の刃を使ったほうが切りやすいのです。逆にコートしない紙だと、細い中桟等を切る際に、30°の方が、刃の先端の厚みが薄く桟の変形が少ないため、使いやすいです。
貼り重ね・接合 (2006/5/10)
デハボの貼り重ねは、Hゴム表現の関係から前回同様外張りに0.1mmを使用しています。クハボは、窓枠等の厚みを0.1mmに落としてより実感的になるようにしました。
接着剤はいつもの通りエポキシ系を使って貼り合わせています。今回はテスト的に正面外張りと内張りの接着にセメダイン超多用途スーパーXを使ってみました。1液性で肉やせがなく、弾力があり、初期強度が強く仮止めにあまり神経を使わなくてもよいという特長があります。固着後もふわふわした感じのため、固める用途には向かないと思います。
側面と妻面の接合は、今回のように角が円弧を描く場合、強度に配慮して外張りと内張りお互いにのりしろとして面接着します。デハボは円弧の部分ものりしろにしています。クハボはカーブがきついので円弧の部分は内側に接着剤を塗って固めるつもりです。接合部がかぎ形になっているのはずれを防ぐためです。
切り妻の場合はいも継ぎしています。
下地処理 (2006/5/18)
ペーパールーフは表裏両面からエポキシ樹脂コートを行い強度を持たせてあります。今回は外張りにエポキシ樹脂コートを施しましたので、一回のサーフェーサ吹きつけおよび耐水ペーパーがけであらかたの部分が平滑になりました。しかし継ぎ目および樹脂コートでできたくぼみは修正しなければなりません。
写真で車体に色の濃いところがありますが、これはくぼみや継ぎ目を埋めるためにサーフェーサを盛り上げた部分です。
屋根先の接着部が茶色になっているのは、エポキシ系接着剤に砥の粉を混ぜて着色したものを使ったためです。透明だと凸凹があってもわかりにくいのでこのようにしました。キャスト部品そのものに着色してはどうかとの考えも浮かびますが、着色すると型に流し込んだときに気泡が残っているかどうかがわからなくなってしまいます。
手すり (2006/5/28)
くぼみをサーフェーサで埋めて研磨しした後グレー塗装しました。写真で拡大するとHゴム等あらが目立ちます。ルータを使って整形してみようと思います。
クハボは手すりを付けました。手すりは真鍮線を曲げて作るのですが、こつがまたつかめていなくて寸法がぴったりでるまで不良品をたくさん作ってしまいます。手順としては1)所要の寸法を測り、2)真鍮線を寸法に切り、3)真鍮板で折り曲げジグを作り、4)ラジオペンチで片方を折り曲げ、5)ジグの穴に差し込み、6)もう片方をジグの端に掘った溝にあてがい、7)もう片方を折り曲げています。寸法が合わなければ折り曲げジグを調整して再度トライします。
一色目塗装 (2006/6/3)
ジャンパー連結器は真鍮線を曲げて作成しました。ジャンパー栓はエポキシ系接着剤を盛り上げてあります。ジャンパー栓受けのふたはスクリューポンチ(穴あけ工具参照)で紙を抜いたものです。
一色目のクリームを塗装しました。前回はベースホワイトがひび割れしたりクリームの調色に失敗したりで厚ぼったくなりましたが、今回はそのようなこともありませんでした。また今回初めてリターダーを使用しました。おかげでよく伸びてくれてつやが出しやすかったです。塗装はエアーブラシを使っていて、パタン開きが小さいため1回の水平移動では幕板から下端まで一気に塗ることは難しいです。リターダーを使わなかった場合、素早く塗らないと1回目の2回目の境目が粒子状になってしまいますが、そのあたりが楽になりました。リターダーの量は一割ほど入れるそうですが目分量でやっています。
ただ色に関しては残っている写真を見ても褪色していて参考にならず、現車を見たことのない私にとってはこんな色ではなかったかと想像するだけです。塗料はマッハの江の電黄(142)を使いました。この色に決めるのに、近畿日本鉄道のウェブサイトのイラストや、現車を見た方が「クリーム」ではなくて「黄」とおっしゃっていたことを参考にしました。
屋根艤装 (2006/6/10)
デハボ1200の方は井桁に組まれたランボードや中央に渡されたランボードが屋根に乗っています。ランボードの脚は、中央のランボードは、前回と同じく真鍮線を曲げて脚としました。パンタグラフ横は、エコーモデルのパーツ(品番1697)を使いました。パーツ付属の天板は3mm幅ですが、この車輌には広すぎますので、別途2.5mm幅に紙を切り出して貼り付けました。2.5mmならがに股になることもないようです。天板と脚は弾性接着剤セメダインスーパーXで接着しました。屋根への取り付けは簡単なジグを作り高さあわせが楽になるようにしました。
今までパーツの品番がわからずに注文できなかったことや、脚ピッチが自由に選べないことからパーツは使いませんでしたが、今回パーツを使ってみて扱いが簡単で、丈夫にがっちり取り付けられることを感じました。パーツの品番については師匠の鉄道模型カタログを利用して調べました。
片側ベンチレータはフクシマ模型のパーツですが取り付け脚が四角になっています。取り付け時にぐらぐらと回らずにぴったり位置決めできるようにとの配慮だと思いますが、ペーパールーフではなかなかそうも行きません。四角の穴を開けて差し込んでから、さらに定規を当ててベンチレータの方向をそろえました。
マスキング (2006/6/17)
車体下半分の緑を塗装しました。手すりに塗り分けがあってマスキングが大変です。扉の部分は塗り分け線が乱れないように手順を工夫しました。1)まず車体全長に渡ってマスキングテープを貼る、2)扉の部分を切り取る、3)改めてテープを少し下にずらせて貼る、4)定規を当ててカッターナイフで塗り分け線が揃うように切るという手順でマスキングしました。乗務員扉は手すりがあってこの方法が使えないので高さが乱れないように気をつけて貼るというシンプルな方法によっています。段差部分はテープの隙間が空くのでマスキングゾルを使っています。
塗り分けの場所によっては一定の高さで切り込みを入れるためのジグを使うことがあります。カッターの刃がついたトースカンのような物を想像してください。今回の車輌はシルに合わせて貼ればよいので使用しませんでしたが、ガイドとなるような物がない場合はこのジグを使ってマスキングテープを切ります。
テープの隙間への吸い込みを防ぐため、最初は濃いめの塗料で少しずつ吹き付けます。最後に塗料をもっと希釈してつやが出るように吹き付けました。リターダーは使いませんでした。
屋根塗装 (2006/7/6)
屋根を塗装しました。
クハボのアンチクライマーは、エコーモデルの波板で表現しています。客扉のモールは0.5mmICテープです。若干オーバスケールですが余り不自然には見えません。ヘッドライトは反射板を田宮模型エナメルの銀で着色しています。レンズは裏表ともクリアを塗って透明にしてあります。
テールライトは反射板をエナメルで黒に塗ってから、赤いレンズを付けてあります。
完成 (2007/7/15)
ようやく完成しました。
日付を見ると一年以上ほったらかしだったようです。反省点としては下地処理の失敗したことです。この作品以降サンディングシーラーを使用する方法に変えています。前回よりクリームを黄色に近づけることができた、すっきりと塗ることができた点が良かったと思います。