屋根(ペーパールーフ)
屋根は木製屋根板を使うかペーパールーフにするか工法が分かれます。
一時木製屋根板を使ったこともありましたが、屋根板が入手難の時期があったこと、木製屋根板を使った車輌は経年変化で無数の細かいひび割れが入ったことから、現在ではペーパールーフを採用しています。
一般的なペーパールーフは屋根と側面を一体に作りますが、この方法では屋根の曲げ応力で側面が歪みやすく、窓柱に起り(むくり)・窓下に反り(そり)が発生するのです。そこで屋根と側面を分離したペーパールーフにすることで側面の歪みを無くしました。
また3次曲面のある屋根先はキャスト部品にしています。
木製屋根板 | 側面一体ペーパールーフ | 側面分離ペーパールーフ | |
---|---|---|---|
強度 | 強い | 弱い | |
工作の難点 | カーブに合わせた切削 目止め |
曲げ癖のための筋入れ 曲げても紙の弾性で戻りやすい |
|
側面平面性 | 良好 | 屋根を曲げる応力で歪みやすい | 良好 |
側面紙厚 | 屋根とは無関係に選べる | 屋根強度を保つため、薄くできない | 屋根とは無関係に選べる |
屋上艤装 | 取付位置罫書きが難しい 市販パーツの取付脚を切って取り付けるので位置決めが難しい(屋根板に穴を開けても良いがそれも難しい) |
罫書きが簡単、曲げの前に取付穴を開けておくこともできる ベンチレータ・ランボードなどの市販パーツの取付脚をそのまま活かせる |
|
側面との継ぎ目処理 | 必要 | 不要(張り上げが楽) | 必要 |
ペーパールーフは弱いので強化のため表裏から硬化時間の長い注型用エポキシ樹脂をペーパーが透明になるまで含浸させます。この処理によって指で押さえても少々の力ではへこまなくなります。エポキシではなくてパテやサーフェーサを使うと屋根が変形します。瞬間接着剤も硬化収縮率がエポキシより大きく好ましくありません。
曲げ癖がきれいにつくように次の手順で工作しています。
- 屋根板の裏から先端が針状に尖った工具で筋を入れる
- 屋根板の下に新聞紙などクッションになる物を敷き、円筒状の物で大きな円弧を作る
- 先を丸く成形した角材を使ってアングルをガイドにしながら、肩の部分の曲げ癖をつける
- 余分な部分を切り取る
筋入れは、あらかじめ筋を罫書いた薄い型紙をスティック糊で仮止めし型紙もろとも筋をつけています。筋入れが終わったら型紙は剥がします。
曲げた屋根は車体側面に30分硬化型エポキシ系接着剤でいもつけします。屋根は弾力で広がろうとしますが、写真のようなジグに挟むことでことで屋根と側面がスムーズにつながります。ジグはいろいろな車輌に対応できるように長ねじを使って幅を調整できるようにしています。工作中にナットが簡単にゆるむと車体幅が変わってしまうのでダブルナットにしています。車体を取り出すために外側のナットをゆるめても内側のナットはぐらぐらしません。
2007/1/6 初稿 2007/10/30 改訂