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塗装

吹き付け塗装はいろいろと失敗を経験しましたが、やっとこつをつかんできたように思います。

よくある失敗とその原因をまとめてみました。

分類 外観 症状 原因
梨地 細かざらざらがあり、つやがない ワークに到達する前に塗料が乾燥し、ワークに到達しても流れない
1回の塗布量が少ない
希釈不足
空気圧低すぎ
ガンの離しすぎ
ガンの性能が悪く微粒子にならない
ゆず肌 つやがあるが、波打っている 風圧で波打ち、その後平面に戻らない
表面張力で塗料の固まりが成長する場合もあった
厚塗り
低温による粘度上昇(10度以下では困難)
希釈不足
空気圧低すぎ・高すぎ
ガンの性能が悪く微粒子にならない
垂れ 塗料が垂れる 重力で塗料が流れる 1回の塗布量が多い
過度の希釈
ガンの近づきすぎ

塗料が濃いと出が悪くなり細かい霧になってくれず大きな粒が塗装面にあたるようになってきます。空気圧をあげると塗料が濃くても霧になってくれますのでその点で空気圧の高いコンプレッサは調整が楽です。空気圧の低いコンプレッサでは希釈することで対策しますが、今度は垂れに気をつけないといけません。

APC-002
APC-002

扉の隅・窓枠など段差のある部分に塗料が回りにくいので、塗り残しが生じないようにまず段差部をねらって吹き付けます。このとき吐出量はできるだけ絞ります。時間をおかずに過度の重ね塗りをすると表面が乱れ梨地になります。段差部の下地が見えなくなったら全体に吹き付けていきます。車体は左右に長いので左から右、または、右から左にエアブラシを移動しながら吹き付けます。幕板をねらって1回目、窓下部をねらって2回目、残りの腰板をねらって3回目と分けて吹き付けます。絞り気味の方が垂れやマスキングテープ裏への回り込みなどトラブルが少ないです。何度か重ね塗りします。つやを出すためには最後の1回はある程度の量の塗料を乗せなければなりません。塗膜を観察しながらつやが出る量を見定めます。このような注意をしてもつやが出ない場合は下地処理の不足で塗料が紙に吸われていることが考えられます。このような場合は十分乾燥するのを待ち、研磨してから、再塗装します。梨地・ゆず肌になってしまった場合にも同様に研磨後に再塗装します。屋根・床下機器などつや消しにする部分は最後まで絞り気味の方が綺麗に仕上がります。

コンプレッサーはエアテックスのAPC-002を使っています。エアタンクがついているので脈動とは無縁です。レギュレータで空気圧を調整できます。

トリガエアブラシ
トリガエアブラシ

エアブラシはスプレーワーク HG トリガーエアーブラシ(口径0.3mm)を使っています。カップは大容量(15ml・別売)が使えるので重宝します。本来エアブラシは微妙なグラデーションを表現するのに適していますが、鉄道模型工作では均一に塗れることが求められますので、そのような用途にはトリガタイプのものが向いていると思います。

超音波洗浄機
超音波洗浄機

塗色によっては隠ぺい力が弱く下の色がなかなか消えないものもあります。白や原色など顔料を混合していない色にその傾向があるようです。その場合には隠ぺい力が強い近似色を下に塗ることでかえって塗膜を薄く仕上げることができます。顔料が缶の底に沈んで濃度が薄くなっている場合にも隠ぺい力が落ちますのでその場合はよくかき混ぜることです。底にこびりついた塗料は簡単に溶けてくれませんが、超音波洗浄機を使うと楽に混ぜることができます。Joshinで約4000円で入手しました。超音波洗浄機がなければボール盤などの回転工具を使って錐の代わりに真鍮線をフック状に曲げた物を付けてかき混ぜることもできます。

使わなくなった塗料や洗浄に用いたシンナーなどは隠ぺい力に配慮しながら適宜下塗りに使ったり、室内・床板に使ったりしてなるべく使い切るようにしています。

2008/5/28初稿、2010/5/12改訂