レーザーカット(設計)
レーザーカットではCAD作図の際に次のような点に注意が必要です。
- ビームの幅による切り代(約0.1mm)を考慮してシル・ヘッダー・靴ずりなど細い部分の寸法を太めにする、1.3mmの厚紙については切り代がV字になりレーザ照射面側の切り代が大きくなることにも注意が必要
- 同様の理由で嵌め合いが緩くならないようにほぞを太めにする
- Hゴムなどの細いものは切り代を含めて0.4mm(仕上がり0.3mm)以上の幅が必要、レーザーカットといえどもあまりに細い帯板を切り出すことはできない。
- 切断順序・筋彫りを線の色によって指定する
- 2重罫書きに注意する、2重罫書きするとレーザービームが2回通るので時間が無駄になったり切断幅が広がったり、筋彫りのつもりが切断されたりする
- レーザーカットが終わったときにパーツがばらばらに落ちないようにすべて切断しないで一部筋彫りにするかブリッジ(パーツと周囲をつなぐわずかな抜き残し)を作っておく
- 紙の端材があればその大きさに合わせて作図し、紙を最大限活用する(歩留まりをあげる)
- XYステージはX軸とY軸で仕上がり寸法がわずかに異なるので車体の方向を揃える
- 切断時間を短縮するように配慮する
時間短縮に配慮する理由は、課金が切断時間単位なので費用を圧縮するためと、店に一台しかないレーザー加工機を専有する時間を短縮するためです。短縮の工夫としては
- カッターナイフでは線からずれたときの誤差を考えてパーツ同士を離して作図していたが、レーザカットでは時間短縮のためパーツ同士をくっつけて作図する
- 中抜き切断を減らし可能であれば一本にする、 例えば凹はUを切断した後、□を切断する、ブリッジは切断線の中央ではなく端にする
- XYステージはY方向の移動が遅いので長い切断線がX軸方向なるように作図する(車体を立てて作図しない)
- 円や円弧は切断に時間が掛かるのでなるべく減らす
また、レーザーカットの特長を生かして
- ペーパールーフを筋彫りで表現する
- 従来成型によって表現していたバンパーなどの小パーツをペーパー積層で表現する
- 窓枠や扉を内張りと別パーツにし、窓枠や扉を薄くすることでより実感的にし、内張りを厚くして枚数を減らすことで接着の手間を減らす
- 井桁板の強度を増すために梁と桁の交差部にフィレット(角丸め)をつける
レーザカットを行う際の注意点は東京紙器株式会社のブログも参考になります。
いこま工房利用の場合はJW_CAD v4.20~v5.22形式で図面を作る必要があります。私が使っている図脳RAPID12にはJWC形式とSXF形式に出力する機能があります。JWC形式では線色7・8の変換がうまくいきませんので線色7・8は使わないことにします。また、JW_CADそのものを使う場合は保存時のバージョンに注意が必要です。図脳RAPIDの別バージョンでうまくいくかどうかは試していません。
線色番号 | 赤 | 緑 | 青 | 色 | いこま工房設定(参考) |
---|---|---|---|---|---|
1 | 0 | 192 | 192 | ■水色 | ■黒 |
2 | 0 | 0 | 0 | ■黒 | ■赤(深い筋彫り) |
3 | 0 | 192 | 0 | ■黄緑 | ■緑(浅い筋彫り) |
4 | 192 | 192 | 0 | ■山吹 | ■黄 |
5 | 192 | 0 | 192 | ■紫 | ■青 |
6 | 0 | 0 | 255 | ■青 | ■マゼンタ |
7 | 0 | 128 | 128 | ■青緑 | ■シアン |
8 | 255 | 0 | 128 | ■ばら | 不使用 |
切断順序は線色番号によって決まり、線色1から線色7までの順序で切断します。いこま工房では深い筋彫りは線色2、浅い筋彫りは線色3と決めています。窓抜きは外周より先に切らないといけないので、窓を線色1、外周を線色4で作図します。筋彫りをどの線色番号をするか切断の際にその都度設定できますので、自分で設定するのならいこま工房設定に従う必要はありません。
右の表はJW_CADの線色の初期設定です。色名は正式名称ではなく私が見た感じで記入したものです。設定→基本設定→色・画面で設定できます。色の設定については画面表示が変わるだけでデータには影響を与えないので初期設定のままでもかまいません。
図脳RAPIDからJW_CADへの変換の際には線色番号がJW_CADの初期設定色に合わせて変換されますので図脳RAPIDの作図の際に線色をそれに合わせておかなければなりません。つまり窓を線色1の水色■で、外周を線色4の山吹■で作図します。もう一つの注意点はJWC形式に出力する前に設定→作図設定メニューで線色をレイヤー色ではなく図形色にしておかないといけません。
2重罫書きについては大抵発生しますので、JW_CADで「データ整理」コマンドの「連結・整理」を実行しておきます。
加工機ステージのサイズは幅406.4mm・奥行き304.8mmです。A3は少しはみ出しますがセット可能です。
井桁板などを作図した例が右の図です。内側から外側に切断していくように線色を分けています。内側の切り抜き部には別のパーツを作図しました。線色はこれが一番先に切断されるように決めています。
2007/10/5 初稿, 2010/7/20 ページ分割