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CAD

CADによって罫書きが正確になり手間が減りました。CAD導入に伴っていくつかの注意や工夫した点を紹介します。

プリンタの選択 (2002年10月14日, 2007年10月18日改訂)

CADソフトを利用して図面を作成するだけではなくそのまま型紙をプリンタで打ち出すことができたら、罫書きの手間が大幅に減ります。そのためには厚紙に印刷できるプリンタを選択しなければなりません。厚紙が使えるものは、後から給紙して前から排紙するなどのように紙がプリンタの中で殆ど曲げられないでそのまま出てくる構造になっています。また、次に説明するプリンタの寸法誤差に配慮して車体長手方向をヘッド移動方向に合わせるには、車体全長+余白分の幅を給紙できることも条件になります。

2007年10月からレーザーカットに移行していますが、ときどきプリンタで印刷する機会もあると思います。

プリンタの寸法誤差対策 (2002年10月14日)

プリンタの印字は意外に寸法が不正確で、誤差が組み立てに影響しないように工夫する必要があります。

車体長手方向を用紙送り方向にするかヘッド移動方向にするかを考えてみますと、用紙送り方向の寸法は用紙の厚みや表面の状態によって変わる可能性があります。それに対してヘッド送りは用紙の影響を受けないだろうと思われます。そこでヘッド移動方向は寸法誤差が用紙によらず安定していると考えて、車体長手方向をヘッド移動方向に合わせています。

また、外張りと内張りなど寸法がぴったり一致してほしいものは間を置かず一度に印刷するようにしています。方向を工夫しても車体全長で1mm弱の誤差が出ていますが、誤差が揃っているので組み立てには支障がありません。

一歩踏み込んだ応用 (2003年1月4日)

CADソフトの利用で単純に手書き作業を置き換えるだけでなく、一歩踏み込んだ応用を紹介します。

外張りと内張りを別々に作図・切抜きして貼り合わせたときにぴったり合わせるのは手書き図面では困難なことでしょう。CADを利用すればそれが可能です。ペーパールーフでは屋根断面が円弧の組み合わせになっていることが多く、手計算で展開寸法を求めるのは困難ですが、当方の使用している図脳RAPIDでは寸法の計測機能があるのでこれを使って正確に寸法を求めることができます。また、奈良電鉄1200で紹介したように屋根先のような複雑な形状の部分を積層によって作成できるのもCAD上で作図して各断面形状を求めることができるからです。半流線型の前面では屋根先と同様に、補強のための裏張りを積層で作成すれば正確なカーブが保てます。屋根上のパンタグラフ台・ランボード・ベンチレータの取り付け穴の位置も簡単にわかるので、これらの取り付け穴も作図しておけばよいのです。

このようにCADの機能を生かして、組立作業を楽に正確にすることができます。

今後伊勢志摩ライナーのような曲面にどのように応用すればよいか課題が残っています。

展開図の作成 (2003年11月21日)

レイヤー

車体は組立図をそのまま使うのではなく、組立図を基に展開図をつくり、用紙にプリントアウトして使います。

組立図から展開図を起こす際に、レイヤーが活用できます。外張り・内張り等を別のレイヤーに作成するのです。そしてこれらを重ね合わせて表示することによって位置関係や干渉する部分を確認できるので寸法のミスや、組立時の当たり逃げが少なくなります。

右図は作成途中のキハ41000の展開図です。側面と正面の突合せ部分は運転台横窓枠の寸法に余裕がないことがわかります。正面の内張りと干渉しないように接着しろの寸法を決めました。

作図の工夫 (2007年10月18日)

作図の工夫

鉄道車輌の作図では水平垂直線が基本になりますが、流線型などの図面では複雑な曲線を描かなければいけないこともあります。

右の図は車輌先頭上部が円弧で後退しているという想定です。ここで円弧に接する直線ABと通過点Cが決まっていて円弧ACを描くことを考えます。円弧が直線ABの接円となることから点Aを通る水平線上に円弧の中心があることがわかります。一方、直線ACの中心を通り直線ACに垂直な直線上に円弧の中心があります(証明は省略します)。以上の2つの補助線を引いてその交点Oが円弧の中心となります。中心がわかれば円弧は描くことができます。

曲線の描画には補助線をうまく活用することが必要と感じました。

2002年10月14日初稿、2007年10月18日改訂