奈良電鉄デハボ1200/クハボ600 工作
側面貼り合わせ等 (2002/8/16)
デハボはHゴムを表現するためにt約0.1mmのクラフト紙を使用、デハボ内張りやクハボはt約0.15mmのケント紙を使用しました。Hゴムは外周に合わせて切り出した紙を貼り付けてから窓を抜いています。クハボの屋根先は独特のベンチレーターがついているため、この部分をt約0.35のケント紙の積層により原型を作ります。
箱に組んだところ (2002/8/22, 2002/8/25改)
箱に組んだところです。屋根先をキャストで、屋根中央部を側面とは別ピースのペーパーを使うのが、最近の私の標準的な方法です。
私の場合、屋根と側面を一体に作ると側面の窓柱にむくりが、窓下に反りが発生しがちでしたが、別ピースにすることでまっすぐに組めるようになりました。
屋根先のキャストには前作まで無発泡ウレタン(レジン)を使用していましたが、経年変化で収縮することがあるとの情報があったので、今回はエポキシ系接着剤を使用しました。これについては実績があり、3年たったものがあるのですがペーパーとの接合部の亀裂等はありません。
床下機器原型 (2002/9/7)
床下機器は市販パーツで合うものがなかなかありませんので、大きくて目立つデハボの抵抗器・主制御器と、ついでに接触器をキャストで作成することにします。写真はキャスト用の原型で桧角材やケント紙から作成してあります。表面処理はサーフェーサを吹き付けたところで、この状態からさらに紙やすりで研磨します。参照した図面では床下機器の大きさはわかるもののディテールはわかりませんので適当に取っ手などをつけてあります。
表面処理を行い、シル・ヘッダを取り付けたところ (2002/9/15)
表面処理を行い、シル・ヘッダを取り付けたところです。サーフェーサは厚塗りすると本塗装のときに再溶解して塗膜が乱れてしまったことがあるので、下地が見えるくらいに薄くしておきます。写真の状態のまま塗装すると透けてしまうので今回はベースホワイトを使ってみます。
シル・ヘッダはペーパー切り出しの際にカッターを寝かせて天端を斜めにカットすると、仕上がり時の光り具合が実感的になります。
ホワイトサーフェーサを吹き付けたところ (2002/9/16)
ホワイトサーフェーサを吹き付けたところです。この前にグンゼのベースホワイトを吹き付けたのですがこれは失敗で、塗膜がひび割れてしまいました。また、粒子は粗く一度にたくさん吹き付けられるので下塗りの最終段階で使うようなものではなさそうです。
そこで紙やすりを使ってひび割れた部分を落としその他の部分も平滑に研磨し、その上から改めて同社のホワイトサーフェーサを吹き付けました。こちらのほうはトラブルなく表面は平滑で改めて研磨する必要もありません。
下地が若干透けて見えておりもう少し厚く塗ると完全に隠蔽できますが、仕上がりが悪くならないようにほどほどにしてあります。
車体への艤装、床面の高さ合わせ (2002/10/4)
保護棒・乗務員扉手すり・車側標示灯を取り付けました。写真はクハボ600です。
床面の高さは、ボルスターばねをセンターベアラーと車体の間に付けたことや、クハボについては車輪をスケールに合わせΦ11.5にしたことでそのままでは高くなりすぎるため、床板のセンターピンがあたる部分を1mm削りました。デハボの方は車輪がΦ10.5なので床板を0.5mm程度削ることになります。台車の取り付けにはカワイモデルのマクラバリおよびセンターピンを使用しました。
台車と車体の間にばねを入れないとジョイント通過時に車体に振動が伝わり車体全体から音がなりますが、ここにばねを入れると車体に伝わる振動が減衰されていかにも車輪から音がなっている感じになります。実物では台車が激しく揺れても車体には殆ど伝わりませんが、そのような仕組みに近づけたいのです。
車体の塗装 (2002/10/12,2002/10/13改訂)
車体を吹き付けました。クリームの塗装は最初に吹き付けた色がピンクっぽくなってしまったので、再度調色して吹き付けなおすというトラブルがありました。クリームの調色は難しいです。
クリームはマッハカラーでは下津井電鉄用が比較的近い色でしたがそのまま使えそうにありませんでした。クリーム・緑共にグンゼのアクリルラッカーを調色しています。
連結器 (2002/11/02)
連結器の取付を検討しました。従来はKD No.5やNo.16などを付けていましたが、Sカーブに弱くレイアウトを走らせるとヤードの入り口で脱線するということがありました。KD No.5やNo.16では750mmの突合せSカーブを通過できません。
そこでカトーカプラーとKD No.26を検討しました。どちらも750mmの突合せSカーブを余裕で通過しますが、私の場合、連結面の車体下端に3X3mmの補強材を入れており、カトーの場合は腕が短いためビス穴位置が床板と補強材のちょうど間くらいにくるため使えません。そこで今回はKD No.26を使用しました。
また従来連結器の高さに無頓着でしたが、今回はスペーサを使用して高さを合わせました。
標識灯・車側標示灯レンズ、床下機器キャスト (2003/01/21)
標識灯・車側標示灯レンズをはめ込みました。車番を貼り付けました。車番はカワチ画材で入手したMAXONのインスタントレタリングです。
床下機器のキャストをやってみましたがうまくいかずシリコン型が破損してしまいました。抵抗器を2つ1組にしましたがその隙間がちぎれています。抜きが深すぎたようです。
床下機器 (2003/01/27)
デハボ1200の床下機器を取り付けました。
失敗した抵抗器のキャストは2つ分を独立させて隙間を離したところシリコン型が破損しないようになりました。主制御器・接触器に関しては、今回キャストをあきらめ原型をそのまま使いました。
真鍮・ソフトメタルの市販パーツ、角材・キャストによる自作パーツと素材がさまざまで、またディテールのレベルも揃っていません。各パーツのバランスを揃えることが今後の課題として残りました。
車輪は踏面付近を残してグレー茶系統の色に塗装しました。これは旧作品の参急2200新の写真でもわかるようにメッキが目立つため、その対策として行ったものです。プライマーを施していないので塗装が剥離しやすいと思われますが、同様の処理をして20年経った作品がありそれには塗装の剥離は見られません。台車も同じ色に塗る予定です。
床下塗装 (2003/02/08、2003/02/15改訂)
床下塗装して車体に取り付けてみました。車輪も床下や台車と同色に塗装したので自然な感じになりました。この写真をあらためて見ると今度は連結器取付ビス頭のメッキや連結器のスプリングが気になってきました。
動力は天賞堂のパワートラックを使っていますがその取り付けには、付随台車と同様にばねを利かせるため、りん青銅板の取付金具を作って使用しています。
屋根艤装・塗装 (2003/02/15)
デハボ1200のランボードを取り付けた後、2輌を塗装しました。阪堺161ではランボードの取付穴を開けないで脚の付け根に接着剤を塗布したのできれいな仕上がりになりませんでしたが、今回は切り抜きの段階で取付穴を開けておき、真鍮線を差し込んで裏から接着剤を塗布したので位置決めが正確で仕上がりもきれいになりました。
インスタントレタリングは上からクリア塗装したのですが養生が不十分だったようで一部はがれてしまったので修正しなければなりません。また今回は車側表示灯・扉のゴムクッションを付けました。
窓セルの貼り付け、完成 (2003/03/01)
最後に窓セルを貼りました。窓セルの貼り付けは透明ゴム系接着剤を使用しています。ゴム系接着剤は糸引きするので扱いにくいのですが、ラッカーシンナーで希釈すると糸を引かなくなります。貼り付けは定石どおり接着剤塗布後しばらく時間を置いてから圧着しました。
デハボ1200の前面のHゴム支持の窓は外側からはめ込むように貼り付けて車体とツライチになるようにしました。側面のHゴム支持の窓は裏から貼り付けました。
ボルスターばね調整 (2003/03/01)
完成後テスト走行してみると、カーブで頻繁に脱線します。状態の良くない組み線路でのテストとはいえ脱線が多すぎます。脱線する台車の上にウェイトを載せてみましたが一向に改善しません。色々考えた末、原因はボルスターばねの使い方が良くなかったと気がつきました。
ボルスターばねを固定しなかったため左右の復元力が働かず、車体が外側に振られて輪重抜けしやすかったようです。そこで写真のようにマクラバリに固定した結果、脱線はしなくなりました。
ボルスターばねの使い方はメーカーの設計意図とは異なります。
工作を振り返って (2003/03/06)
今回は途中目を悪くしたこともあって完成までに時間が掛かりました。振り返ると数々の失敗が思い起こされます。
- 屋根の両端部が厚く中央が薄く全体として反ってしまった(手順ミス)
- ベースホワイトを吹き付けたことや調色のやり直しなどでいつもよりぼってりしてしまった
- 床下機器のディテールのバランスが悪い→パーツ選択
- 床下機器の取り付けの高さ→床板の再検討
- クリーム色が実物の印象と異なる(実物を見たことがある方に聞くともっと黄色っぽいとのこと)
逆に良かった点を上げると次のようなことがあげられます。
- クハボ600のベンチレータはケント紙の積層によってそこそこの表現ができた
- デハボ1200のHゴムは破綻なく作れた
- ランボードをきれいに作ることができた
- 車輪塗装により台車付近の雰囲気が良くなった
- ボルスターばねを使った台車固定の方法を確立した
今回の反省を踏まえて、次回はよりよい模型を作るようにします。