モハユニ44 ペーパーキット工作
競作受けて立つ (2004/02/17)
いさみやペーパーキット、クモハユニ44競作の企画を学生時代の先輩から持ちかけられたのでこれに乗りました。キットは紙が分厚いので繊細な表現が難かしくなります。紙の分厚さをいかにカバーするかがテーマとなるでしょうか。
競作の相手は3人で各々、多作とアイデアで勝負している方、真鍮キットまでもそつなくこなす方、床下機器の一つ一つまで自作する超工作派の方で、私に勝ち目があるのかと思ってしまうのですが、無理をしないで楽しみたいと思います。期限は年内です。
編成について (2004/02/21)
1輌だけ作っても様にならないので相方を決めなければなりません。クモハユニ44は身延線の低屋根が有名ですが、低屋根はあまり好きではないので改造前の登場時に近い姿としたいのです。そうなると横須賀線で32系と組んだ4輌編成程度にすることが考えられますが、32系は1輌ごとに窓配置がばらばらで設計や工作の負担が大きくなります。
どうするか困っているところに先輩より身延線で通常屋根の2輌編成の写真があると助け舟を出してもらいました。その後鉄道ピクトリアル等の資料を調べて、ぶどう色通常屋根ガーランドベンチレータのモハユニ44+正面雨どい直線32系クハ47の編成にしました。クハ47はスクラッチです。
キットについて (2004/02/26)
キットが届いたので中身を確認しました。外張りと扉は約0.5mm、窓枠等は約0.25mmの厚みです。普段は2段窓を表現しますが外張りにこれだけの厚みがあると2段窓を表現しても実感に乏しいので今回は見送ります。クハ47の方もキットに厚みをあわせて用紙を選定します。
屋根はいつものペーパールーフによる方法で作ります。
床板は付いていますがボルスターばねを使用する関係で金属床板にします。
このキットの客扉は窓の寸法が縦横逆ではないかと、今回競作に参加している先輩から現役のときに教えてもらった記憶があります。
貼り合わせ (2004/02/29)
窓枠および扉を貼りあわせました。
プレスボードはケント紙に比べて紙の目が詰まって単体でもがっちりしています。補強用の瞬間接着剤があまり染み込みませんでした。キットの窓枠はいくつかの窓が一体になっていますが、重ねて見ると微妙にずれているので適当に分割してから貼り合わせました。でも後で見ると貼り合わせがずれている。
窓枠や乗務員扉の凹凸は普段のケント紙による方法と比べるとかなり強調された感じになっています。
クハ47外張り (2004/03/21)
クハ47の外張りを切り抜きました。
クハ47につく数多くのリベットは真鍮線を植え込みで表現する予定です。写真でわかるとおり予めリベットの位置をけがきました。この手のけがき作業はCADを使うと難なくできます。でも実際の作業は・・・
クハ47リベット植え込み(2004/06/06)
クハ47の内張りや扉を貼り付けた後、サーフェーサを筆塗りして#320、#1000の紙やすりで磨きました。
リベット植え込みを開始しました。最初にボール盤を使ってΦ0.3の穴を開けようとしましたが、心出しが非常に困難でぶれてしまうため断念しました。大変ですがピンバイスを手回しすることにしました。また穴は最初座くり穴を開ければ差し込んだ真鍮線が抜け落ちないだろうと思いましたが、真鍮線の径がΦ0.25と開けた穴の径のほうが大きいため、ワークを傾けると簡単に抜け落ちました。脱落防止に瞬間接着剤を使いたいところですが、表から接着剤を塗ると凹凸ができて下地処理が後々面倒ですので、貫通穴を開けて真鍮線を差し込み、裏から接着剤をまわすことにしました。リベットをこの段階で埋め込むことになったため側面・正面はこれ以上の下地処理ができなくなりました。後の工程では凹凸ができないように注意しないといけません。
本来は真鍮線・キリともにΦ0.2にしたいのですが、あまりに細い径のキリは簡単に折れそうですので上記の径で妥協しています。
予想していましたがリベット植え込み作業は大変そうです。数も多いので根気が続くかどうか心配になってきました。
クハ47リベット植え込み途中経過(2004/06/09)
あまりに単調な作業なので途中経過を書き込みます。
リベット植え込みは1日に窓4個分くらい処理しています。
ためしにΦ0.2のキリで穴を開けようとしたのですが、一つ目の穴も開かないうちに折れてしまいました。リベットの高さが揃うようにラジオペンチにマスキングテープを貼り付けてスペーサ代わりにしたジグを作りました。このジグで表から出ている真鍮線をぷちぷち切っていくのです。
塗装後にいい感じになることを祈るのみ。
箱組み(2004/07/13)
クハ47のリベットの植え込みが終わり、やっと側面と妻面を箱組みできました。ここまでの道程の長かったこと。
リベットの頭は今回新たに購入したルーターでちょんちょんと当てるようにしてペンチの切り口の角を取っておきました。
接着にはエポキシ系の中でも表札用を使用、ライトグレーで不透明なのでサーフェーサと同様に凹凸を見つけ易いのです。
クハ47の下地処理はこれで終わりですが、モハユニ44の方はさらにサーフェーサを塗り重ねる必要がありそうです。
屋根先原型(2004/09/15)
屋根先の原型を作っています。クハ47とモハユニ44では屋根のカーブが異なります。クハ47に比べてモハユニ44の方が5年ほどあとに登場しただけあって洗練された感じがします。屋根カーブの特徴がわかるように気をつけながら削っています。手前に写っているものは屋根横断面のゲージです。
屋根先組み付け(2004/11/03)
いつものとおり屋根先をエポキシ系接着剤で成型して組み付けました。隙間埋めはこれもいつものとおり表札用エポキシ系接着剤を使用しています。このあたりの技法は私の工作法として定着してきました。
年内完成に何とか間に合わせたいものです。ディテールはいつものとおりあっさり作ります。
シル・ヘッダ取り付け(2004/11/09)
リベット付きシル・ヘッダを取り付けました。真鍮製のものを取り付けるのは初めてで、接着に何を使うか迷ったのですがゴム系接着剤をラッカーシンナーで希釈したものを使いました。サーフェーサが紙との間に入っているので簡単にはがれるのではないかと思いましたが、シンナーで薄めることでサーフェーサに接着剤が浸透して強度が出るようです。瞬間接着剤は衝撃に弱そうですので敬遠しました。
竪樋は割りピンで固定しました。割りピンを使うのは初めてで結構てこずりました。順序は、1)車体に取付穴を開ける、2)真鍮線に割りピンを通す、3)割りピンの脚を適当な長さに切る、4)脚を取付穴にいれセロテープで仮止め、5)真鍮線と割りピンを瞬間接着剤で固定、6)割りピンと車体をエポキシ系接着剤で固定、という風に作業しました。
竪樋上部の集水器はエポキシを削って造形しました。切削にはルータを活用しました。
車体塗装(2004/11/14)
車体のぶどう色を塗装しました。今回はコンプレッサーをエアテックスのAPC-002に変えています。空気圧は従来使用していたスプレーワークに比べると3倍程度になっています。以前より希釈を控えめにしましたが、艶は十分出ました。
クハ47の車体に植え込んだリベットは、車体の裏から針で突いた参急2200に比べると、エッジがくっきりとしています。これは意図したとおりの仕上がりになりました。しかし、シル・ヘッダのリベットと比べるとオーバースケールです。私の技術ではこの大きさが限界です。
床下(2004/12/6)
ボルスターばねやφ11.5の車輪を使う関係から床板は車体下端よりも上に取り付ける必要があったので今回は床板に真鍮を使用しました。
床下機器はチャンネルで浮かせて取り付けました。機器の配置はいい加減につけたので参考にしないでください。連結器はエンドウの密着連結器を使用しますが、付属の取付ネジのねじ切り部の長さが非常に短いため、これを利用するためには金属板にタップを切る必要があったので、真鍮板とケント紙でカプラー台を作りました。ケント紙は瞬間接着剤で固めてあります。このあたりもう少しスマートな方法がありそうに思います。
取り付けが楽になるので、ボルスターの取り付け穴もタップを切っています。
屋根・床下塗装(2004/12/18)
屋根・床下を塗装し、窓を貼り完成の姿に近くなりました。
コンプレッサの圧力が高いので要領よく塗装ができました。
車輪の塗装では今回プライマー代わりに透明ゴム系接着剤を希釈したものを塗布しました。
完成(2004/12/24)
完成しました。枕張りやボルスターばねは高さ合わせと左右の水平出しを慎重に行ないました。
今回は紙の厚みがペーパーキットに合わせて分厚くなっているのでごつごつした印象になっています。ぶどう色なのでまだ目立たないようですが、横須賀色など明るい色の場合は強調されたのではないかと思います。
また、下地処理には課題が残ってしまいました。
今回の工作に際して、ルータと塗装用コンプレッサを購入しましたが、これらの工具は工作の幅を広げてくれたようです。
現時点で一応完成ですが、カーブ通過具合を見ながら胴受けを付けたり、パワートラックへの集電を4軸に増やしたりと追加の工作を行なう予定です。
モハユニ44完成画像(2005/3/5)
競作のテーマとなったモハユニ44の完成画像を追加しました。